陸上競技の男子走り高跳びで1984年以来破られていない東海高校記録を持つ小野晃司さん(59)=浜松市中央区=が、第二の競技人生を歩み出している。ホテル経営などの家業を継ぐため大学4年で引退したが、「人生最後の1ページを競技者として締めくくりたい」と復帰を決意。マスターズ陸上での“日本一”を目標に今夏の競技会出場へ練習を重ねている。
小野さんは静岡大付属浜松中1年で本格的に競技を始めた。3年で全国中学校体育大会(全中)を制し、浜松北高では2、3年の全国高校総体でともに準優勝。高校3年の時、全国優勝に一歩届かなかった悔しさをバネに、地元の四ツ池公園陸上競技場で東海高校記録を樹立。社会人ら実力者に引っ張られて出した2メートル20は、令和の今も東海地区の高校生に立ちはだかる高い壁となっている。
再び陸上のトラックに戻るきっかけになったのは、2023年に亡くなった父喜義さんがその2年前にかけてくれた言葉だ。「もう一度、陸上をやらなくていいのか」。家業を継ぐため、目指していた五輪出場の夢を諦め大学4年で引退した小野さん。喜義さんの言葉を受けて当時の情熱を取り戻し、「日本一になる姿を見せるよ」と約束したという。22年からは復帰を見据えて、トレーニングを開始。90キロあった体重を3年間で70キロに落とした。現在は体づくりのために地元の陸上クラブで中高生らと練習に励んでいる。
60歳の節目を迎える今年、狙うのはM60(男子60~64歳)日本記録の1メートル67の更新。ゆくゆくはM60世界記録の1メートル82の更新にも挑むつもりだ。「過去の栄光を自慢するのではなく、今の自分を誇りに思ってもらえる記録を出したい」。天国で見守る父との約束を果たそうとしている。
(運動部・太田達也)
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