表紙の人 インタビュー

安定力重視で新事業運営

サゴーグループ代表
小野晃司 氏

2013年4月号

観光旅館、ビジネスホテル、飲食業等、時代に即した幅広い事業を展開するサゴーエンタプライズ(株)小野晃司社長。新業態へも参入し、その手腕に期待が寄せられる。

昨年10月に「浜松モールプラザサゴー」の跡地が駐車場としてスタートしました。

 
サゴーの象徴的な建物で、約40年運営しました。女性のファッションを中心に長い間支持頂きましたが、施設の老朽化に伴い、解体するのが一番良いという事は6年程前から既に分かっていました。「臥薪嘗胆」の思いでテナントを順次移転、閉鎖を繰り返し、解体に向けての準備を進めました。解体が出来るようになったという事は、私が社長に就任して新たな目標設定が出来、スタートを切れる段階になったという事です。
 

 

しかし世間は「サゴー閉鎖」というマイナスイメージを持ちますよね。

 
商業施設もビジネスホテルも現代の規格に合わなくなってきていました。しかし、ホテルの方は最後の一日まで営業できた事は非常に有り難かったです。会社を潰さずに最終日を迎えるという事に、私は全力で当たりました。結果的に資産売却は一つもありません。
 

社長に就任した当初は良い時代もありましたか?

 
既にバブルも崩壊していましたので、景気が良い時代を余り知りません。経費削減や人件費削減、「成長力重視」から「安定力重視」に切り変えるべき時でしたね。(私の奮闘記が業界新聞に連載された時期もあります)
 

 

厳しい時代を生き抜いて来られたのですね。

 
これまでの会社の内容を見ると、我々は事業を20年スパンでスクラップアンドビルドしてきた会社です。今の主力事業が今後10年を見据えた時に、市場が成長すれば良いが、同じものを同じようにお客様に提供しているだけでは会社は存続できません。戦後の浜松市民に明るさを取り戻したいと娯楽事業に力を入れながら割烹旅館などを造りました。しかし、娯楽事業は数年で見切りをつけ、観光事業にシフトしました。更に10年後、高度成長期に入って市民の所得も増え「人と違うファッションがしたい」という方々に向け「浜松モールプラザサゴー」をオープンし、ビジネスホテルも事業展開しました。当初、製造業の街浜松では、ビジネスホテルの稼働率も好調でした。しかし、今は工場も撤退し、厳しい時代に突入しています。
 

舘山寺サゴーロイヤルホテルはいかがでしょうか?

 
今は一つの旅館に泊まるのではなく、その観光地域に誘客しようという動きが強く、今の施設を生かしながら地域の強みを生かすコンテンツとして「浜名湖遊覧船」を運営する運びとなりました。当初は地点を結ぶ定期便的な遊覧船でしたが、「感動体験」という一つのテーマを基にして、「星空クルーズ」や「ミュージッククルーズ」等、特別運行便を企画してお客様を集客し、 地域一丸となる努力をしています。また昨年、新たな船を導入し、旅館の垣根を超えた、地域にとってかけがえのないものになってきていると思います。
 

 

フラワーパークやフルーツパークの運営が変わり、来年には花博10周年のイベントも企画される等、追い風では?

 
このような新たな動きに対応し、チャンスを掴む準備をしたいですね。
 

今後の経営戦略をお聞かせ下さい。

 
今進めているのが「企業ブランドのリブランディング推進」です。これはサゴーブランドに拘らない会社にしていこうというもので、先日アクトタワーにオープンした「コモンズ・アクトシティ浜松」をはじめ、どうしても若い世代の人には古いイメージが付いてしまっている「サゴー」という名称に敢えて拘らない新展開です。更にビジネスホテル「浜松サゴーイン」を、静岡県で初めて「アパホテル」のフランチャイズ化します。
 

 

あの有名社長の?

 
はい、そうです。まだプレスリリース前ですが、正式に契約しましたのでお伝えします。「アパホテル浜松駅南」という名称で、6月にオープンする予定です。これが我々が推進していくリブランディング事業です。浜松には全国チェーンのビジネスホテルはほぼ出店し尽くして、唯一出ていないのが「アパホテル」さんです。
 

我々からすると「サゴー」の名前が使われないのは、何となく寂しいイメージもありますが…。

 
「サゴー」の名前を無くしていくと発表した時、涙を流して悔しがった社員もいました。有り難い事ですが、会社を存続させることが重要です。事業性を重視し、小さくても利益が出せるものなど、新しいものに生まれ変わる必要があります。
 

 

これは賃貸しですか?

 
いいえ、フランチャイズ式です。我々の従業員はそのままで、「アパホテル」のブランドで運営し、売り上げに対してのロイヤリティを支払う形ですね。
 

新しい事業形態ですね。

 
例えば後継者がいないビジネスホテルの経営者や、投資するお金がないホテルがアパさんと提携して、我々がリブランドして再生して家賃をお支払いするというような新しいビジネスモデルも考えています。
 

 

話を聞いていると非常に戦略的ですね。

 
リーダーはやりたい事を明確にし、社員を説得しなければならないと思います。だから私は、今のリーダーに一番必要なものを「説得力」だと感じています。
 

 

小野社長が描く、これからの御社の未来はどのようなものでしょうか?

 
現状は手段であり、目的と履き違えず、次の20年を邁進します。決してコインパーキングをやりたい訳ではなく、自ら解体したサゴービル跡地を、会社の希望の象徴として残し、いつかこの場所を、また浜松の為になり、お客様に支持される「陽の当たる場所」にしてみせるという決意があります。
 

 

ご活躍を期待しています。ありがとうございました。

小野晃司(おのこうじ)

1966年浜松市出身。浜松北高、筑波大学を卒業後、1994年、米国ホフストラ大学大学院にて経営学修士課程(MBA)を修了し、サゴーエンタプライズ(株)に入社。2004年、代表取締役社長に就任。

以上

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