事業紹介

私たちはサゴーグループは、総合レジャー産業において多種多様な事業を展開しています

宿泊部門

浜松駅周辺で宿泊施設を運営しています

飲食部門

お客様の様々な食のニーズにお応えします

その他

ビル管理・請負業務・賃貸などをしています

事業部門

宿泊部門

アパホテル<浜松駅南>


飲食部門

創作フレンチ・マリポーサ

ここの食堂
ここの食堂

ここの食堂
みなみ食堂


その他

ビル管理
総合ビル管理

不動産賃貸
不動産賃貸

浜名湖遊覧船
企画販売

会社沿革


創業時は「高砂」という旅館を経営していましたが、昭和49年にビジネスホテルとファッションの複合ビルへの業態変更にあたり、浜松市民から会社の名称を公募いたしました。当時の社名「高砂(たかさご)」のサゴーと前向きな行動「さぁゴー」という意味を込めて「サゴー」が採択されました。その後は事業所に「サゴー」をつけ、平成2年にはCIとして社名をサゴーエンタプライズ株式会社に変更いたしました。


2025年 みなみ食堂をボートレース浜名湖内に開業
2025年 みなみ売店をボートレース浜名湖内に開業
2024年 ここの食堂をボートレース浜名湖内に開業
2024年 ここの売店をボートレース浜名湖内に開業
2024年 浜名湖遊覧船を株式譲渡
2024年 サゴーロイヤルホテル・山喜を株式譲渡
2021年 瀬戸港敷地内でミニキャンプ浜名湖を開業
2021年 瀬戸港敷地内にSpaceKOYAを建設賃貸
2020年 浜名湖遊覧船がみっかび瀬戸港を開業
2018年 ロイヤルに浜名湖ダイニング空海を新設
2018年 ロイヤルホテルの耐震補強工事が完了
2018年 サゴービル跡地に立体駐車場を建設賃貸
2017年 浜名湖遊覧船が水上交通なおとら導入
2013年 アパホテル<浜松駅南>をFC開業
2013年 コモンズ・アクトシティ浜松を開業
2012年 サゴーパーキング鍛冶町を開業
2012年 浜名湖遊覧船が双胴船ハイビスカス導入


2009年 浜名湖遊覧船(株)を事業継承
2009年 サゴーパーキング海老塚を開業
2008年 サゴーパーキング板屋町を開業
2006年 舘山寺温泉にホテル山喜を開業
2006年 サゴーパーキング千歳町を開業
1994年 サゴー浪漫舘を開業
1994年 サゴービルサービス(株)設立
1990年 サゴーエンタプライズ(株)に商号変更


1987年 舘山寺ロイヤルホテルを増改築
1982年 浜松サゴーターミナルホテルを開業
1981年 浜松サゴーインを開業
1980年 高砂観光株式会社に商号変更
1974年 浜松サゴーホテルを開業
1974年 浜松モールプラザサゴーを開業
1970年 舘山寺ロイヤルホテルを開業


1964年 株式会社高砂園に商号変更
1963年 弁天島観光ホテル高砂園を開業
1956年 明治会館を新築
1950年 創業・有限会社旅館高砂を開業

サゴーグループ代表の小野晃司氏(以後敬称略)に関する過去の記事を総括しました。最終更新2025.10.23

 

I. エグゼクティブ・サマリー

 

I-A. 報告書の目的と小野晃司氏の三層構造の提示

 本報告書は、静岡県浜松市を拠点に活動する小野晃司(1966年11月16日生)の人物像を、その多角的な活動領域に基づき包括的に分析することを目的とする。小野晃司のキャリアは、サゴーエンタプライズ株式会社の経営者としての顔(企業の存続を最優先した戦略的変革) 、地域社会の活性化を担う青年経済人組織の指導者としての顔 、そして観光・旅館業界の継続的な振興を図る代表者としての顔という、三つの主要な側面から構成される。その根幹には、逆境を乗り越える独自のレジリエンスの哲学が存在する。
 この分析の核となるのは、同社グループが過去に大規模観光資産を保有・運営してきた実績と、現在の経営の主軸である総合ビル管理や不動産賃貸といった安定収益事業へのポートフォリオ集中 との間の戦略的な連携である。小野晃司が代表取締役社長(2004年10月就任) として実行した一連の決断、特に2024年9月の主要観光事業からの撤退は、企業の持続可能性を追求するための、先見的かつ現実的な財務的アプローチを反映している。
 

I-B. 核心的洞察:維持均衡への移行とリスク対応

 小野晃司の経営哲学は、経営者としての役割を「先代の拡大均衡から縮小均衡へ、そして次代に向けて維持均衡へ」という三段階の戦略的変遷によって定義している。この「維持均衡」への移行を確定させたのが、主要観光事業からの「ターンアラウンド・エグジット」という戦略的撤退であった 。
 この決断は、単なる事業の縮小ではなく、人口減少リスク、自然災害リスク、地政学的リスクというマクロな三大リスク に加え、リーマン・ショック時の経験に基づく財務リスクを回避し、企業の永続的な存続を最優先するための再編策として評価される。
 また、ホスピタリティ事業で培った経験を活かし、将来的には高齢化が進む社会構造に対応する福祉関係の事業への転換を図る構想を持っている 。これは、経営の安定と社会的な必要性を統合した、先見的な戦略であり、後継者への円滑なバトンタッチを視野に入れた構造的転換でもある。
 

II. サゴーエンタプライズ株式会社:事業構造の変革と実績

 
サゴーグループとしての中核事業構成
 「II. サゴーエンタプライズ株式会社:事業構造の変革と実績」の分析は、グループの中核となるサゴーエンタプライズ株式会社(事業統括・不動産管理)、過去に観光振興のコンテンツを担った浜名湖遊覧船の存在、そして現在の安定収益の基盤であるサゴービルサービス株式会社(バックサポート・新規事業の担い手)の三つの視点から、小野晃司の経営戦略を検証する。
 

II-A. 企業概要と事業ポートフォリオの戦略的俯瞰

 サゴーエンタプライズ株式会社(サゴーグループ)は、1950年(昭和25年)に有限会社旅館高砂として創業したことに端を発する 。1970年に舘山寺ロイヤルホテルを開業し、1974年には旅館「高砂」をビジネスホテルとファッションの複合ビル(浜松モールプラザサゴー)へ業態変更した際に、社名を公募し、前向きな行動という意味を込めた「サゴー」が採用された 。1990年にサゴーエンタプライズ株式会社に商号変更(CI)し、小野晃司が1994年5月に入社、2004年10月に代表取締役社長に就任(現任)した 。
 
過去の主要観光実績と多角化戦略の必然性
 小野晃司のリーダーシップの下、サゴーグループは長らく浜松の観光を牽引してきた。過去の主要な観光事業には、収容約500名を誇る大規模温泉旅館である「舘山寺サゴーロイヤルホテル」、「ホテル山喜」、および「浜名湖遊覧船事業」などが含まれる。特に舘山寺サゴーロイヤルホテルにおいては、従来の団体を主軸とした運営スタイルから個人を主軸にした運営にシフトさせた。
 また、浜松駅周辺の繁華街における宿泊特化型ホテルやショッピングモールの複合ビル(浜松モールプラザサゴー )の経営も行い、都市型ビジネスとレジャーの両面で地域経済に貢献してきた。
 さらに、浜名湖遊覧船事業を2009年に事業継承し、約15年間にわたり主導。観光振興の核として「水上交通」の可能性に意欲的に取り組み、定期便の周遊航路に関して「双胴船ハイビスカス」を導入し、2012年に運航を開始した。特に、瀬戸港と舘山寺港を結ぶ周遊航路は、双胴船ハイビスカスが担い、浜名湖サイクリングの普及に影響を与え、サイクリングルートをショートカットできる交通手段として利便性を高めてきた。また、大河ドラマ「おんな城主 直虎」の放送期間には、「水上交通なおとら」を導入し、気賀と舘山寺を結ぶ限定航路を実現させた 。
 また、みっかび瀬戸港も再開させ、さらに土地の有効活用としてワーケーションスペースやオートキャンプ場の開発も進めるなど 、遊覧船を活用した体験型観光コンテンツの開発に成功したことで、サゴーグループの業績を向上させただけでなく、地域や業界でのポジションを確立させ、マスコミにも多く取り上げられる実績を残した。
 
主要観光事業からの戦略的撤退(2024年9月):過去の偉業と未来への選択
 長期的な企業レジリエンスを確保するため、小野晃司のリーダーシップの下、サゴーグループは「未来に向けた選択と集中」の一環として、主要な観光事業からの撤退という英断を2024年9月に下した 。この決断は、以下の経済合理性とリスク分析、そして法令遵守の精神に基づくものであった。
 
①三大リスクと経済合理性
 撤退の経済合理性は、コロナ禍の3年間で観光部門のみが業績悪化する一方、その他部門の安定的な収益が企業の存続を支えたという経験に基づく。特に、1970年開業の築54年を迎える大型旅館へのさらなる投資は、人口動態や自然災害のリスク回避を考慮すると回収が見込めないと判断された 。
 
②法令遵守に基づく経営判断と資産整理:
 小野晃司は、「お客様と従業員の生命が守られない可能性が少しでもある状態であれば、建物は解体し、事業からの撤退も前倒しで決断して実行している。そこにかかるコストや機会損失も次代に向けた事業の棚卸しである」と述べている。この理念に基づき、資産整理が実行された。

  • 舘山寺サゴーロイヤルホテルは、耐震診断の義務化により耐震補強を要したため、耐震補強工事をした後に売却先を探し始めた。
  • 浜松モールプラザサゴー(サゴービル)については、市場の変化に加え、アスベスト問題が社会で起こった時期であり、中期的に解体すべきと経営判断していた。
  • 浜名湖遊覧船では、知床の沈没事故を受けて、模範的な予防策として注目されるなど、小野晃司は法令遵守を基本理念で守り抜く経営者であることがわかる。

 
③キャッシュフロー最大化スキームの実行:
観光事業の撤退は、以下の3つの原則に基づくキャッシュフローを最大化するスキームとして捉えられた。

  • 賃貸料が発生する案件のキャンセル:アクトタワーの浪漫舘の撤退や浜松駅前のサゴーターミナルホテルの撤退に該当。
  • 良い立地は他社に貸して賃料を得る:サゴービルの解体と駐車場専門業者への長期賃貸(コインパーキング化)にコンバージョン。
  • 悪い立地は自社で収益化して切り離す:舘山寺サゴーロイヤルホテルとホテル山喜、浜名湖遊覧船の売却 。

 
「ターンアラウンド・エグジット」の実行
 この戦略的事業再編は、中日新聞の記事で「ターンアラウンド・エグジット」(事業再生と出口戦略)と表現された 。浜名湖遊覧船を含む観光部門を「分社型新設分割」という手法を用いて売却することで、ボラティリティの高い事業を切り離し、本体の財務状況を改善させ、企業の永続的な存続という使命を果たした。
  

II-B. 宿泊事業の変遷:リブランド戦略と都市機能への貢献

 小野晃司の経営する宿泊事業は、過去の「地域観光」の旗艦施設(舘山寺サゴーロイヤルホテル)と、現在も継続する「都市ビジネス」の両面に対応する「二元構造」を取ってきた。
 特に都市部においては、浜松駅近くに展開していた「浜松サゴーイン」を、インターネット予約に有利になるよう宿泊特化に優位なホテルチェーンのFCにリブランド(アパホテル<浜松駅南>)した 。これは、予約手法が対面からインターネットへと急速に移行する時代の変化に適応するための合理的な高稼働戦略から高単価戦略への転換につながった。
 この戦略的な配置は、小野晃司が地域経済に貢献する上で、単なる観光集客にとどまらず、都市機能の利便性向上やビジネス需要の価格競争に歯止めをかけたプライスリーダー的な存在としても責任を果たしていることを示している。
 

II-C. 不動産・管理事業が支える企業財務の安定性

 サゴーエンタプライズの安定収益部門は、総合ビル管理、不動産賃貸、企画販売といった部門で構成される 。小野晃司は、サゴービルサービス株式会社の代表取締役社長も兼任し(2020年6月就任) 、この安定収益部門の強化を主導している。
 サゴービルサービス株式会社の業務は、ビル管理やベッドメイキングを含む清掃業務のほか、この人手不足の社会において業務委託や人材派遣などにもおよんでいる。特に、2024年からは、観光事業撤退と同時期でありながら、ボートレース浜名湖内で食堂2軒と売店3軒を請け負っており、これによって旧舘山寺サゴーロイヤルホテルの業務での収益を超える体制を構築し、サゴーグループの新たな成長基盤を確立した点は、その実行力の高さを象徴している。
 顕著な例として、かつて1974年に旅館から業態変更された複合ビルであった「浜松モールプラザサゴー」(サゴービル)を解体し、350台のコインパーキングに事業コンバージョンを成功させている。その前後にもコインパーキングを浜松駅周辺に展開して合計500台近いスケール効果を生んでいる。このコインパーキング事業が、現在サゴーエンタプライズの安定収益部門における主要な「プロフィット・センター」の一つとなっており 、企業の長期的な資産運用と危機管理能力の高さを示している。
 

将来構想としての福祉事業への転換の可能性

 この安定収益の核であるサゴービル跡地の立体駐車場は、長期の賃貸契約となっているため、小野晃司の将来構想では、その後の展開を次代がコアビジネスとする分野として、福祉事業を検討している 。福祉事業は、自社で行うか他社に貸し出すか判断の余地はあるものの、その方向に向かう価値は高いと評価されており、社会的な必要性と事業の永続性を統合するという、同氏の先見的なリーダーシップを示すものである。
 

III. 地域社会への貢献と組織運営:多岐にわたる公職歴

 

III-A. 観光振興の主軸:継続的な業界指導者としての役割

 小野晃司は、観光事業からの撤退を経た現在も、地域および全国の観光振興における指導的地位を維持している。現任の要職には、浜松商工会議所常議員(観光サービス部会副部会長)(2010年11月就任) 、浜松ホテル旅館協同組合副理事長(2008年2月就任) 、静岡県ホテル旅館環境衛生同業組合副会長(2023年5月就任) 、全国ホテル旅館生活衛生同業組合連合会特別理事(2025年6月就任) などが含まれ、引き続き地域経済の未来に対する提言と観光振興の主軸としての役割を継続している。
 

III-B. 青年経済人としての指導者経歴、地域ブランド化への貢献、教育活動

 小野晃司の地域社会への貢献は、経済人組織における指導力と、具体的な地域ブランド創出への尽力によって裏打ちされている。
①地域ブランド化への尽力:
 過去に経営したアクトタワーのテナント「サゴー浪漫舘」を中心に、浜松餃子や浜名湖牡蠣カバ丼の普及に尽力した。特に、浜松餃子の商標登録は小野晃司による保護であり、また浜名湖牡蠣カバ丼は舘山寺温泉を代表する地域グルメに成長するなど、地域ブランド化に大きな役割を果たした。
②中心市街地活性化への貢献(軽トラ市):
 若い頃、「浜松まちなか軽トラ市実行委員会実行委員長」(2011年1月就任) として活躍した。この活動の背景には、大型商業施設の郊外進出とインターネット販売の台頭による中心市街地の空洞化という深刻な経済的暗雲(老舗百貨店やザザシティの倒産、再開発頓挫など) があり、軽トラ市はこれに対する「人を呼び込む具体策」として注目され、毎月1回継続して計80回開催された。
 テーマは「三遠南信の交流事業として野菜の収穫時期がずれすことで、年間通じて魅力ある軽トラ市として支持を集め、全国で軽トラ市が開催されるようになった」というものであり、当時、スズキの鈴木修会長の指導を得ていることで話題にもなった。
③社会起業家としての教育活動:
 浜松市内外の小学校・中学校・高等学校・大学などで「社会起業家」として講演依頼を受け、実施している 。これは、自身の経営哲学や地域課題への取り組みを通じて、次世代の若者に実践的なリーダーシップと郷土愛を伝えていることを示す。
 

IV. 小野晃司の人物像:行動哲学と経営戦略の融合

 

IV-A. 経営者に必要な素養:「気持ちの切り替え」と構造的決断力

 小野晃司の経営戦略における卓越した「気持ちの切り替え」と「構造的な変革を実行する断固たる決断力」は、彼のキャリア初期の経験から派生した、経営者に不可欠な素養である。
 小野晃司の哲学は、「人生で学ぶべきことは、成功する方法でも失敗しない方法でもなく、むしろ成功しても失敗しても次に向けて気持ちを切り替える方法ではないだろうか」という言葉に集約されている 。
 この哲学は、経営者に不可欠な以下の素養として具現化されている。
 目標達成への厳密な集中: 計画の精度を極限まで高める集中力は、企業活動における「提言と行動の一致」(III-B参照)という成果志向の原則に直結している 。
 失敗からの即時的なリセット能力: 失敗や停滞に直面しても感情的な執着を排し、冷静に戦略を修正できる能力である。この素養こそが、大規模観光事業の老朽化や三大リスクに対し、「ターンアラウンド・エグジット」という「撤退の決断」を可能にした根幹にある 。
 

IV-B. 企業永続の哲学:拡大均衡から維持均衡への戦略的変遷と後継者戦略

 小野晃司の経営者としての役割は、時代の変化に対応し、「先代の拡大均衡から縮小均衡へ、そして次代に向けて維持均衡へ」という三段階の戦略的変遷を遂げることにあった。この移行を象徴するのが、リーマン・ショック時の経験である。
 社長就任後、縮小均衡の過程でリーマン・ショックに見舞われた際、サゴーグループは資本金が3億円であったが、次の株主総会で資本金を9,500万円に減少させた。この財務的な「維持均衡」への舵取りは、後のコロナ禍を乗り切るための対企業枠ではない柔軟な経営体制を築く背景の一つにもなっている。
 哲学的な変遷は、後継者へのバトンタッチを視野に入れた戦略を強く含む。小野晃司が自社の従業員に宣言した、サービス業の進化を「サービスプロバイダーからコンテンツプロバイダーへ、そしてこれからはソルーションプロバイダーへ変化を遂げる」という方針は、将来のコアビジネスを福祉事業に見定める構想(IV-C参照)を前提としている。
 主要な観光事業を切り離し、安定収益部門(不動産、ビル管理)を強化した一連の決断(2024年9月撤退 )は、次世代の経営者がマクロなリスクに晒されず、安定した財務基盤の上で、福祉事業という社会貢献性の高い分野で新たな成長を目指せるよう、負の遺産を整理するという、責任ある後継者戦略の一環である。
 

IV-C. グローバルな知見と将来性:福祉事業への転換

 小野晃司の学術的背景は、筑波大学卒業 に続き、米国へ留学しホフストラ大学大学院経営学修士課程(MBA)を修了(1994年5月) しており、そのグローバルな知見が抜本的な経営改革の基礎となった。
 小野晃司が描く将来構想では、安定収益の核であるサゴービル跡地の立体駐車場が長期の賃貸契約となっているため、その後の展開を次代がコアビジネスとする分野として、福祉事業を検討している 。彼は、ホスピタリティ産業で培った豊富なノウハウを活かし、高齢化が進む地域社会の課題(人口減少リスク)に対応する福祉関係の事業への戦略的な転換を図る構想を持っている 。
 サゴーグループの事業は時代の変遷で内容は変化してきたが、すべて「時間✕価値」の本質に向き合ってきたこと、その重なりを「不変にして、変転。」と表現して、持続可能な未来を見出している。
 この転換において、後継者によるIT技術を活用したAIエージェント部門を組織する可能性を持ち、福祉は健康プロデュース部門を組織することで、キャッシュフロー経営を重視した転換を図る計画である。福祉事業は、自社で行うか他社に貸し出すか判断の余地はあるものの、その方向に向かう価値は高いと評価されており、社会的な必要性と事業の永続性を統合するという、小野晃司の先見的なリーダーシップを示すものである。
 

IV-D. 意思決定プロセスと三大リスク(人口減少、自然災害、地政学)への対応

 小野晃司の経営判断は、長期的な視点に基づく危機管理能力を反映しており、その核心には、持続可能な経営を脅かす三大リスク、「人口減少リスク」「自然災害リスク」「地政学的リスク」への対処がある。
 このマクロな三大リスクを予測した上での具体的な戦略的行動が、資本集約的な大規模観光事業からの戦略的な撤退 と、今後の福祉事業への転換(IV-C参照)である。資本集約的でリスク変動が大きい大規模観光事業 から撤退し、不動産・管理部門 といった安定的な収益源を強化することは、自然災害や地政学的な変動によるリスクを吸収するための防御策である。
 同時に、福祉事業への進出は、日本の構造的な課題である人口減少リスク、特に少子高齢化への対応として、既存のホスピタリティの知見を新たな安定市場へ適用する、先見的な経営判断を示している。
 

V. 結論:総括と提案(統合型地域指導者としての将来性)

 

V-A. 総括:経営・地域活動を貫く「変革と永続の思想」

 小野晃司のリーダーシップは、グローバルなMBAの知見と即時的な決断力を基盤とし、企業経営と地域社会活動の双方において「変革と永続の思想」を貫いている。
 企業経営においては、創業以来の「拡大均衡」から、自身の代における「縮小均衡」、そして次代への「維持均衡」へと、時代のリスクを先読みした戦略的ポートフォリオの最適化を断行した。特に、サゴービルサービスが人手不足の社会に対応した業務委託や人材派遣に及び、2024年にボートレース浜名湖の食堂・売店事業を新規で請け負うことで、旧舘山寺サゴーロイヤルホテルの業務での収益を超える体制を構築し、サゴーグループの新たな成長基盤を確立した点は、その実行力の高さを象徴している。
 2024年9月の主要な観光事業からの「ターンアラウンド・エグジット」 は、三大リスク回避と財務体質強化(資本金減少を含む)を目的とした合理的な決断であり、後継者への円滑な事業承継を視野に入れた戦略的行動である。
 地域貢献においては、中心市街地の空洞化という経済課題に対し「浜松まちなか軽トラ市実行委員長」として具体策を実行し、浜松餃子の商標保護や浜名湖牡蠣カバ丼の普及にも尽力するなど、地域ブランド創出に貢献 。現在も観光業界の要職 を通じて地域振興の主軸を担っている。
 さらに、福祉事業への転換構想は、彼の「社会起業家」としての哲学が、企業の永続性と社会的な課題解決の統合を目指す、次世代型のリーダーであることを証明している 。
 

V-B. 提案:小野晃司のリーダーシップ・レガシー

 小野晃司の今後のレガシーは、「課題解決型の地域経営」という新たな分野で形成されることが期待される。彼の提唱する「ソルーションプロバイダー」への進化が示すように、ホスピタリティ経験を活かした福祉事業への転換(健康プロデュース部門の組織化)と、IT技術を活用したAIエージェント部門の組織化は、キャッシュフロー経営を重視しつつ、高齢化社会に対する高品質なサービスモデルを提供し、企業の永続的な価値を社会貢献に昇華させる。
 小野晃司の多角的な視点、グローバルな知見、強固なネットワーク、そして卓越した戦略的実行力は、浜松が直面する構造的な課題の解決において、引き続き中心的役割を果たすことが期待される。
 

以上